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サッカーベルギー代表が抱える移民事情と融和の成功

多民族国家として有名なベルギーですが、サッカーにおいても多様なバックグラウンドをもつ選手がベルギーで活躍しています。昨年までFIFAランキング1位であり、世界最強の多民族チームとして君臨していました。

 今回はベルギー代表の民族構成をご覧いただきます。

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ベルギーはクラブチームで活躍する優秀選手がそろう

ウェールズ戦の先発を見てみます。オランダ系、フランス系にルーツを持つ選手はベルギー系と記してあります。

■ベルギー代表
▼GK
1 ティボー・クルトワ(ベルギー系)

▼DF
16 トマ・ムニエ(ベルギー系)
2 トビー・アルデルヴァイレルト(ベルギー系)
15 ジェイソン・デナイヤー(コンゴ系)
21 ジョルダン・ルカク(コンゴ系)

▼MF
4 ラジャ・ナインゴラン(インドネシア系)
6 アクセル・ヴィツェル(フランス領マルティニーク系)
11 ヤニック・フェレイラ・カラスコ(スペイン/ポルトガル系)
7 ケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー系)
10 エデン・アザール(アルジェリア系)

▼FW
9 ロメル・ルカク(コンゴ系)

 

ベルギーの歴史

ベルギーは公用語がオランダ系の言語であるフラマン語、フランス語、ドイツ語が公用語であり、連邦制で構成されている国家です。このことからわかるように他民族で成り立っており、多くの言語や人種がいりまじる国々です。

1839年に独立したばかりで国としては比較的新しい部類です。元々、オランダやフランス、ドイツに併合されていましたが、独立を果たします。

 

ベルギーが永世中立国であるのは、オランダがベルギーの独立を認めるかわりに、フランスと結びつかないようにしてもらうためでした。フランスはカトリック、オランダはイギリスと同じプロテスタントであったため、ベルギーがフランスと結びつくと隣国が軍事的な脅威になる可能性があるため、強制的に中立国にさせました。

ベルギーの移民

ベルギーも首都ブリュッセルを中心に多数の移民がおります。ベルギーは植民地として、コンゴ民主共和国、ルワンダを支配していました。特にコンゴでは、強制労働を強いて多数の死者がでました。これによって死者と引き換えに、ゴム輸出やウラン鉱石の販売によって多くの富を得ました。これらの経緯からコンゴからの移民は多くおります。

近年では、イスラム教徒の移民が多く、2世の世代も増えたことからベルギー人口の6%がすでにイスラム教徒で首都ブリュッセルには30%近くがイスラム教徒とよばれています。

 

しかしながらブリュッセルのイスラム教徒は貧しいものが多く、スラム街に近いところに住んでいる人が多いためISの搾取対象となりテロをおこしています。モロッコからの移民がアムステルダム市長を殺害しようとするなど騒乱の種となり過激な政党はイスラム教徒を追い出そうとしています。中東系の移民も増え非常に危険な地域が増えています。

ヤヌザイのコソボ代表選択

香川のいるドルトムントで活躍したヤヌザイですが、ベルギー代表からその実力を認められていたにも関わらずコソボ代表を選択します。

旧ユーゴスラビアに属していたコソボですが、独立をこころみてみたもののアルバニアを除く国々からは独立を支援されず、しまいにはクロアチア、ボスニア紛争によるセルビア人難民指定地とされ、旧ユーゴの中でも軽視される存在となりました。

2000年代に入り、その独立を認める国が増えはじめ現在は111カ国から独立を認められ日本、ドイツ、アメリカ、イギリスなどとは国交があります。

そして2015年にFIFAの参加国として認められ念願のコソボ代表が誕生します。スイスやベルギーにコソボからの移民が多かったのですが、ヤヌザイはベルギーを捨てて祖国コソボの代表になることを決意しました。スイスのエースシャキリもコソボがルーツです。このように多民族国家ならではの問題も発生しました。

 

各選手について

1 ティボー・クルトワ(ベルギー系)

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 チェルシーの守護神クルトワはベルギー系です。チェルシー、およびベルギー代表のゴールキーパーとしてチームを守り続けています。クルトワはスポーツ一家でバレーボールをずっとやりつづけていたため、手を使った競技には強さを発揮します。


16 トマ・ムニエ(ベルギー系)

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デ・ブライネとともに若くしてベルギーの代表となったトマ・ムニエです。現在はパリサンジェルマンで活躍し、ダニエルアウべスの後継者として見られています。ベルギーの右サイドバックとして不動の地位を確立しました。

190cmの長身選手であるだけでなく、身を粉にしてディフェンスをする姿も評価されています。ムニエはトップ選手でありますが、決して順調にここまで登ってきたわけではなく、フォワードからコンバートされたり、郵便局員をやっていたりと様々な経験を経て今があるわけです。


2 トビー・アルデルヴァイレルト(ベルギー系)

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現在のベルギー代表では27歳ながらかなりベテランの部類に入ります。アヤックスでキャリアをスタートさせ、ベルギーの各年代で活躍し、現在はトットナム・ホットスパーで主軸となっています。 

アルデルヴァイレルトは若き他民族国家であるベルギーをまとめるベテランの1人となりつつあります。安定したプレーが持ち味です。187cmという高身長で守備をまとめています。


15 ジェイソン・デナイヤー(コンゴ系)

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21歳ながら、ベルギーのセンターバックをになうコンゴ系移民2世です。ガラタサライやセルティックにマンチェスターシティからレンタルで移籍される状況が続きましたが現在はサンダーランドにいます。試合にコンスタントにでれていませんが、ベルギーはこのような若手を抜擢するところが驚きです。

闘志あふれるプレーでチームをけん引しています。21歳とは思えないプレーの慎重さと、若さゆえの大胆さで常にベルギーに新しい味をもたらしています。コンゴ系移民としてルカク兄弟とともにベルギーを大胆かつ堅いチームにしあげています。


21 ジョルダン・ルカク(コンゴ系)

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ベルギーのエース、ロメロルカクの弟です。父親のロジェルカクは旧ザイールの代表で、ベルギーに移民としてやってきました。恵まれた体格と英才教育によってここまでのびてきました。移民とはいえ、他の選手以上に恵まれた環境だったためベルギーが発掘したタレント世代といえるでしょう。

クラブチームでは決して常に試合にでれているわけではなく、今後さらなる成長が必要になります。ルカク兄弟はベルギーの中心になるのは間違いないため、移民への考え方を見直すきっかけになる選手の一人です。イスラム教徒ではないため、風当たりはそれほど強くありません。

 

4 ラジャ・ナインゴラン(インドネシア系)

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 ラジャ・ナインゴランはインドネシアの少数民族でスマトラ島の高地にひっそりとすむバタック人の父親とフラマン人の母との間に生まれました。ナインゴランは幼い時に父親が失踪したため非常に貧しい暮らしをしてきました。ベルギーの中でも出自が貧しい代表選手は珍しいです。母親も7年前になくなるなどこれまで多難な人生をすごしてきました。

イタリアに渡り、イタリアでサッカーを磨いてきており、現在はローマの中盤の底を支えています。モドリッチ以上の素質をもっているのではないかとも思います。

これからは、オランダ語、フラマン語、英語、フランス語、イタリア語と、多彩な言語に精通しておりベルギーの民族を象徴しています。貧しい環境で育ちながらも母親からしっかりと育てられたことがラジャに影響をもたらしました。全身にタトゥーが入っており、上裸になったときは少し刺激が強いです。

 

6 アクセル・ヴィツェル(フランス領マルティニーク系)

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 フランス領マルティニークにルーツをもヴィツェルは父親もサッカー選手でした。フランスにはマルティニーク出身の選手も少数ながら存在します。西インド諸島に浮かぶ島であり、コロンブスに発見された大陸ですが、このような大陸は先住民は虐殺され奴隷や入植者の混血によって現在の住民が攻勢されています。

ヴィツェル自身もベルギーのサッカーアカデミーの教育をうけてベンフィカやゼニトサンクトペテルブルクで活躍し、中国に現在は移籍しました。ベンフィカにはいませんでしたが、ブラジル代表のフッキと経歴が似ていますね。

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11 ヤニック・フェレイラ・カラスコ(スペイン/ポルトガル系)

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スペインポルトガルにルーツをもつ両親のもと、ブリュッセルで生まれます。モナコで獅子奮迅の活躍を見せ、一気にその価値を高め、アトレティコへ移籍します。シメネオのサッカーにフィットしているプレースタイルですが、今一歩成長が必要な選手です。スペインにルーツがあることもあってリーガエスパニョーラへの溶け込みは早かったです。

ベルギーでの各年代でも活躍しており、非常に今後が楽しみです。
7 ケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー系)

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ベルギーの中心選手であるデ・ブライネはベルギーのヘントで生まれます。ヘントといえば日本の若きストライカー久保裕也が移籍したベルギーのチームです。その後、2008年にKRCヘンクでトップチームにあがります。若くして代表に欠かせない存在となりましたが、25歳でありまだまだ成長の余地があります。現在はマンチェスターユナイテッドに所属しております。

デ・ブライネはベルギーで見た目もフラマン系の民族ですが、母親が、ロンドンの出身であり、イングランドにも比較的早くなじむことができました。多民族国家であるベルギーならではの事情であるといえます。


10 エデン・アザール(アルジェリア系)

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チェルシーで絶対的エースとして君臨するアザールはベルギー生まれですが、移民組の1人です。アザールは両親がアルジェリアからの移民であり、多くがフランスに行く中ベルギーへ移民しました。その後、ベルギーでエデンが誕生し、ベルギー、フランスのユースチームで活躍し、チェルシーそして年代別のベルギー代表で常に中心となっています。

アルジェリア系はフランスにとても多いですがベルギーにも一定数移民しており、ベルギーにおける火種のひとつともなっています。

アザールはベルギーで人気の選手であり、こういった移民の選手が活躍することが偏見をといてくれるのに一役買っている側面があります。


9 ロメル・ルカク(コンゴ系)

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 戦車のような力強い、ドリブルをしているのがルカク兄弟の兄、ロメル・ルカクです。先ほど述べた通り、今後からの移民である父のものにうまれました。

とくにロメルはベルギーの若手育成世代の中でも生まれ持ったフィジカルをいかし圧倒的な存在となります。ベルギーは良いフォワードが不足していましたが、チェルシーで得点を量産するロメルはベルギー希望の星となっています。

アフリカ人特有のフィジカルだけでなくテクニックにも秀でております。

控え組:マルアン・フェライニ(モロッコ人系)

 

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赤い悪魔マンチェスターユナイテッドに所属するフェライニはモロッコにルーツをもちます。アザールと同じ、マグレブ諸国の一角です。

両親ともにアルジェリア人でアルジェリア北部のタンジェからブリュッセルに移民としてやってきました。フェライニはアフロヘアが特徴ですが、真ん中を切り裂くドリブルで多くの脅威を与えています。現在はマンUで出場機会に恵まれていませんが、世界トップクラスの選手の一人です。

ベルギーは何故強くなったのか?

ベルギーは2002年日韓ワールドカップにも出場しましたが日本と初戦でひきわけるなど、成績としてはふるいませんでした。本大会に出場することすらできない状況でしたが、国を挙げて改革に取り組みます。具体的には、ユース年代の発掘に力をいれはじめ国として優秀な選手を支援すること、クラブチームの育成方法を共有し底上げをはかりました。

同時に移民の2世も積極的に、サッカーに受け入れはじめ、優れた選手が集まるようになりました。その結果が現在のベルギーを作ったのです。フェライニやルカク兄弟の移民組とアザールといった白人系のベルギー人が融合して現在のベルギーができました。