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サッカーフランス代表の民族構成から見える移民問題

フランス代表は、ジダン、マケレレ、アンリといったアフリカ系の移民選手が活躍し始め、純粋な白人は少なくなってきました。ジダンと女優の沢尻エリカは同じ民族であるということを知っていますでしょうか?民族マニアの私が、現在のフランス代表の民族を読み解きつつ移民問題を説明します。

 まずはこちらをご覧ください。ユーロ2016のフランスのスタメンの写真です。一目で分かるように黒人系の選手が大半をしめています。これが現状のフランスですが、民族的観点から解説したいと思います。

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ユーロ決勝のメンバーを今回は調査の対象としました。ちなみにポルトガル戦の先発メンバーは下記のとおりです。

 

1 GK ウーゴ・ロリス(カタルーニャ系)
19 DF バカリ・サニャ(セネガル系)
21 DF ローラン・コシールニー(ポーランド系)
22 DF サミュエル・ウムティティ(カメルーン系)
3 DF パトリス・エヴラ(セネガル系)
15 MF ポール・ポグバ(ギニア系)
14 MF ブレーズ・マテュイディ(アンゴラ系)
18 MF ムサ・シソコ(マリ系)
7 MF アントワーヌ・グリーズマン(ポルトガル系)
8 MF ディミトリ・パイェ(レユニオン系)
9 FW オリヴィエ・ジルー(フランス系)

 

これを見るとわかるように、11人中、7人が黒人、パイエもマダガスカルの東にあるレユニオン出身です。フランス系の出自はジル―のみとなっており、衝撃の構成となっております。

驚くことにアルジェリアやモロッコといったマグレブ諸国の選手がおりません。ベンゼマ(アルジェリア系)が招集されなかったこともあり、黒人中心となっています。モロッコルーツだとベルギー代表のフェライニが有名ですね。

 

各選手の詳細なルーツを見る前に、フランスの移民の受け入れ率を見てみましょう。

移民の出身国を見てみると

モロッコ :14.5%

アルジェリア:12.7%

チュニジア:4.4%

とアフリカ北部のマグレブ諸国から3割を占めています。

EU内の国でも

ポルトガル:12.7%

イタリア:3.4%

スペイン:2.7%

とポルトガルを中心にEUの中でもGDPが低い国から移民が多くなっています。

その他、サハラ以南のアフリカはギニア、カメルーン、セネガルといった国々からは合計14.4%とマグレブ諸国に次ぐ、巨大勢力となっています。トルコも5.1%と近年は非常に多くが移民としてきています。

一方、ベトナムやラオス、カンボジアのアジアのフランス植民地からは2.7%と移民の数は多くはありません。

常にフランスは移民を受け入れてきた関係で、EU、マグレブ諸国、サハラ以南アフリカという感じに移民の傾向が変化し黒人系のアフリカ出身者が増えてきています。現在20~30代はアフリカ系が最も多く、その関係で現在の年代のサッカー選手はアフリカにルーツをもつ選手が多くなっています。

それでは選手をみていきましょう。

1 GK ウーゴ・ロリス

カタルーニャ系

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父親がバルセロナ擁する、カタルーニャにルーツをもつため、カタルーニャ人としての血が流れています。父親がフランスに移民してきたためフランス人となりましたがスペイン国籍も選択可能でした。

ベルギー代表のカラスコもスペインにルーツをもつなど、サッカー強豪国から流出した人材も少なくありません。

現在もですが、1900年代は治安や経済の問題から白人系の人種はフランスやイギリス等に移民する人も少なくありませんでした。逆にスペインはドミニカ共和国、アルゼンチン、メキシコといった南米から多くの選手を受け入れています。

一方、アルジェリア、モロッコといったマグレブ諸国からの移民はフランスに流れているため多くはありません。これはアフリカを欧州列強国が植民地にのりだした際に他国の国力に勝てなかったためです。スペインは西サハラやモロッコの一部といった国々しか、植民地ではありませんでした。そのためスペインにはアフリカ系移民は流れてきていません。

逆に南米は、ブラジル、ガイアナ、スリナム(元オランダ代表セ―ドルフのルーツ)を除くとほぼスペイン領のため中南米からの移民は多くなっております。

こういった背景からスペインは治安が悪化し、もともとの経済がよくなかったことも相まってスペインからは多くの白人層が流出し社会問題となっています。特に若い層の失業率がEUでも高くなっています。

ロリスはカタルーニャ系ですが、カタルーニャは明確な民族ルーツがはっきりしているわけではありませんが、ラテン人やフェニキア人(エジプト周辺に住んでいた民族)の混血によって独特な民族性がはぐくまれた説があります。カタルーニャ人はスペインカタルーニャ地方に多くが住んでいますが、次いでフランスが多くなっています。

 

19 DF バカリ・サニャ

セネガル系

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ドレッドヘアが特徴のサニャです。彼は、両親がセネガルからの移民です。同じセネガル系の移民としてはジダン時代を支えたヴィエラがいます。ヴィエラは生まれてからフランス移民組です。また、サニャはムスリムであります。

 セネガルという国は1815年から約150年かけて統治されました。しかしながら、フランス文化があまり残っておらずフランス語話者も少なく、宗教も一部のキリスト教徒を除き大部分がイスラム教徒になっています。フランスによる植民地支配によって民族紛争が生まれ、現在にいたるまで、政治が安定しておりません。独立してまだ50年足らずのため経済が混沌として、国としての成熟度が大きくありません。人口も1300万人程度にとどまっています。こういった背景から多くがフランスに仕事を求めて移民します。全体の移民のうちの2%未満などで数は多くはありません。移民をしても、仕事を見つけるのは難しく多くが、貧民街で育ちます。また黒人であることから、アルジェリア系よりも差別を受けやすいと言われています。

 フランスにおいてはマイノリティですが、ラマ・ヤド氏がセネガル生まれとしては初のフランス国内の大臣に就任し話題となりました。セネガル自体がサッカーが強いので今後もセネガルにルーツをもつフランス代表は増えるのではないでしょうか。

21 DF ローラン・コシールニー

ポーランド系

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コシールニ―はフランス生まれの白人ですがポーランドにルーツをもちます。ポーランドはEUの中では貧しい国のためポーランドに移民がいくことはほぼありません。また植民地もなかったためにポーランドと縁がないためくることがないというのもあります。一方ポーランドは他国への移民が多く、イギリスへは80万人近くが移住し、社会問題となりヘイトスピーチも起こっています。

同様にドイツやフランスにも移民をしており、移民生産国の1つです。ドイツでは、ワールドカップ最多得点のクローゼや、Jリーグ神戸に移籍することになったポドルスキもポーランド系ドイツ人です。彼らはポーランドに誇りをもちドイツ国家をまったく歌いません。

コシールニ―は彼らと比べると比較的フランスナイズされています。世界的にポーランド系はなぜか米国含め嘲笑の対象とされることもあり苦労している民族の1つです。


22 DF サミュエル・ウムティティ

カメルーン系

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バルセロナのDFであるウムティティもカメルーンのヤウンデ(カメルーン第2の都市)出身です。

カメルーンからフランスへ移民として移ります。その後、バルセロナにその才能を見出されます。そして21歳にしてフランス代表に選出されるなど、将来のフランスサッカーを担う存在として注目されています。

 カメルーンは、沿岸地域であることも災いして奴隷貿易において重要な拠点となります。奴隷をカメルーンから西インド諸島等へ輸出する場所となりました。14世紀にポルトガルと接触したのを皮切りにドイツに支配されます。その後、フランスとイギリスの植民地となり領土も分断されることとなります。

フランス領とイギリス領のカメルーンが統合して一つの国となって独立した後は紛争が奇跡的に起こることなる現在にいたります。フランス領の勢い、経済の影響が大きかったことが結果的に民族分断や戦争を起こさずにすみました。

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3 DF パトリス・エヴラ

セネガル系

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サニャと同じく、セネガルにルーツをもちます。セネガルの首都ダカールに生まれ、その後、家族でパリにうつります。パリサンジェルマンのユースチームに見出されますが、その後はイタリア生活が長くなります。モナコで大車輪の活躍を見せた後に、マンチェスターユナイテッドに移籍しチームを支えます。現在はユベントスに移籍し再びイタリアの地で活躍しています。

エヴラも裕福な出自ではないために、強い気持ちをもって、戦い続けていることがサッカー選手として大成する秘訣となっています。アフリカ系の選手は出自がよくないことからガッツがあふれる一方感情のコントロールが難しい選手が多いです。エヴラの気持ちの強さとアフリカ系選手の感情の乱れは紙一重です。

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15 MF ポール・ポグバ

ギニア系

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フランス代表で最も世界を沸かせているのがポグバではないでしょうか。ギニアからの移民である両親の元にパリから南に少しいった、小都市ラニ=シュル=マルヌに生まれます。幼少期からサッカーの才能に秀でており、マンチェスターユナイテッドの下部組織に入ります。しかしマンチェスターでは活躍できず、フリーでユベントスに行きます。そのユベントスで獅子奮迅の活躍を見せて、世界的なMFとなります。ドリブルでかけあがり突破する姿は多くの人の目に焼き付きました。チャンピオンズリーグ決勝で敗れた後の涙は非常に感動的でした。

ギニアはフランスに1900年ごろから約50年にわたり統治されます。ギニアは隣国にポルトガルが支配していたギニアビサウがあり、こちらも植民地によって欧州列強の勝手な線引きによって領土分割された関係で民族に混乱をきたしました。ギニアは人口1000万人足らずのため移民は多くないですが、貧困から抜け出すためヨーロッパに渡る人も少なくありません。特にポグバの両親の世代では多くわたっていました。

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14 MF ブレーズ・マテュイディ

アンゴラ系

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アンゴラ系移民の両親のもとにフランスで生まれました。マテュイディはパリサンジェルマンで6年以上活躍し、なくてはならない存在となっています。フランス代表にもアンダー世代から飛び級招集され高いポテンシャルを発揮しています。チェルシー、マンチェスターシティあたりに移籍してもおかしくなかったですが、本人はパリが気に入っているようです。

アンゴラはポルトガル領であり、フランスとは縁がありません。2000年前半までアンゴラは内戦が続き白人との確執もあり、経済も政治も不安定で治安もよくありませんでした。アンゴラはポルトガルに移民としてわたりますが、ポルトガル自体が経済として成熟しておらずマグレブ諸国に近い存在ですので、より経済発展し移民を受け入れているフランスにわたりました。マテュイディの両親も経済と安全をもとめ移住し、フランスで子育てすることができました。貧民街からはいあがったマテュイディのタフさは群をぬいています。

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18 MF ムサ・シソコ

マリ系

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マリ系にルーツをもつシソコはフランスに生まれます。サッカー選手としてはフランスにすでになくてはならない存在です。

マリはかつてフランス領でした。現在にいたるまで治安が安定しておらずイスラム組織との戦いで政府もろくに機能していません。かつてはフランス領スーダンといわれていました。経済発展も見込めず、アフリカの中でも貧困国の1つです。マリ系出身はアフリカ出身の中でも特にきびしい環境をしいられ移民先で命からがらいきのびています。

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7 MF アントワーヌ・グリーズマン

ポルトガル、ドイツ系

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アトレティコ、フランスで得点を決め続けるグリーズマンも純粋なフランス系ではなくポルトガルやドイツの血が混じっていると言われています。祖父もサッカー選手であったため経済的理由という側面は少ないです。現在のフランス代表では比較的、フランス国民に受け入れられやすい存在といわれます。

8 MF ディミトリ・パイェ

フランス系(レユニオン)

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ウエストハムの一匹オオカミことパイエですが、マダガスカルのすぐそばであるフランス領のレユニオン島で生まれます。レユニオン島はフランスとはかなり異質で、どこにも属さない独立島の印象が強いです。フランス大陸にサッカー選手として早くに渡り、早くにプロになったことで、現在の地位を確立しました。レユニオン出身の選手はそう多くなく、パイエはレユニオンの英雄的存在です。 

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9 FW オリヴィエ・ジルー

 フランス系

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限りなく"フランス人"に近いのがジル―です。大黒も所属したグルノーブルでキャリアをスタートさせ、現在はアーセナルで活躍しています。イケメン選手としてフランス国内で非常に人気が高く、最後のフランスの砦といったところでしょうか。

 

その他の注目選手

フランスの10番「アンドレ=ピエール=ジニャック」

北インド系ロマ

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フランスの強豪マルセイユで大量得点を挙げて活躍していたジニャックですが、メキシコのティグレスに移籍し話題を呼んだジニャックですが、フランス代表の10番を付けています。EUROでは途中出場が多かったですが、コンスタントに毎試合試合にでて活躍しました。メキシコリーグでは得点を文字通り量産しています。

そんなジニャックですが、移動型民族のロマにルーツをもちます。ロマは移動をしつづけていくなかで迫害を受けますが、各地で生き延びた民族です。フランスには決しておおくありませんが、ジニャックはその血を受けついだサッカー選手としては希少な存在です。

 レスター優勝の立役者、中盤の心臓「エンゴロ・カンテ」

マリ系

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カンテも移民の両親のもとマリで生まれます。驚くことにフランスではまったく注目されず、ルーツのあるマリのアンダー代表にすら呼ばれず、2部で埋もれていた選手でした。レスターが発掘し、不動のボランチとなったことでレスターの中盤を支えました。あのマケレレの後継者に最も近い存在と言われておりフランス代表でもスターダムをのしあがりました。自己主張の強い選手ではないですが、いつの間にかボールを奪取しており、レスター時代はマフレズ(アルジェリア系移民)へパスを出し、得点量産のアシストをしていました。

フランス国内での考え方は?

フランスは、ティエリアンリや、ジネディーヌ ジダン、マケレレといった人間的にも受け入れられ、かつ人気もある選手が活躍したことで、白人以外の選手の地位もあります。もちろん人種差別もまだまだ存在しますが、サッカーにおける移民の地位は確実にあがっています。

アンリ氏は特にあらゆるスポーツの中でも人気の選手です。今後移民は増加の一方で白人だけで成り立つサッカーの時代はおわりました。中盤はフィジカルの強い、アフリカ系の選手が活躍します。

アンリ(西インド諸島)、ジダン、トュラム、トレゼゲ(アルゼンチン系)、ビエラ、マケレレといった移民組がフランスサッカーを席巻した時代は世界に衝撃を与えました。このころは中南米やマグレブ諸国中心でした。時代的にも中南米、マグレブ諸国が多い時代でしたが、現在は黒人系のアフリカにとってかわっています。

白人はサッカーから離れている部分もありますが、あらゆる民族が一致団結したらフランスの黄金時代が到来すると思われます。

 

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